三力不動産ブログ

2018-02-17

ウーマン村本がどっぷり浸かった「反辺野古」歴史学者の教え

『篠原章』

読了まで7

 ところが、である。そのとき同席していたある歴史研究者が最近になって発表した論考には、「琉球処分は明治政府による強引な琉球併合のプロセスであり、許し難い植民地主義的蛮行であった」としか書いていなかった。「許し難い蛮行」とは恐れ入る。
 当時の沖縄の人口に占める士族(サムレー)の割合は、最小で2割、最大で5割であるとされている。日本全体の士族人口の割合は7%から10%だったといわれているから、沖縄がとんでもない士族優位の社会だったことは明らかである(琉球を実質支配していた薩摩の士族比率も高かった)。士族比率の高い社会のほうが、農民(ハルサー)に対する搾取や抑圧の度合いは高くなるから、琉球処分による封建制の廃止は、農民にとって歓迎すべき革命的変化だった。琉球処分の持つこのようなポジティブな側面も注目されてしかるべきだ。そのことは、伊波普猷を始め多くの研究者が指摘している。
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 そんなことは百も承知しているはずの歴史研究者が「琉球処分は許し難い」と語っている。歴史的事実に許すも許さないもない。事実は事実である。彼はなぜこんな一方的で、非科学的な物言いをして平気でいられるのだろう。
 彼の論考を読み進めていくうちに、その理由がはっきりわかった。「安倍政権による辺野古新基地建設の強行は、明治政府による琉球処分という蛮行に重なって見える」と書かれている箇所があったからだ。彼は「安倍政権は許し難い」といいたいがために、「琉球処分は許し難い」といわなければならなかったのである。彼は自らの主張を正当化するために歴史を歪曲したのである。
護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)

護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)
 実のところ沖縄近現代史分野では、こうした歴史の捏造や歪曲は珍しくない。似たようなことは吐き気がするほどの頻度で起こっている。「辺野古新基地反対」大いにけっこう。それはそれでやればいい。だが、政治的立場を強化するために、歴史を捏造したり、歪めたり、誇張したりすることはけっして認められることではない。
 ウーマンラッシュアワーの村本大輔の発言にも、歴史の捏造者たちと同じような匂いを感じてしまう。村本大輔個人を責めようというのではない。この世界には、「日本」に「琉球」を対置し、「辺野古」に「植民」を重ね合わせるために手段を選ばない連中がいるということだ。「日本にしてやられている沖縄」というイメージを強調するには、沖縄が「異国」であったほうが便利だ。植民地主義者・日本が、「辺野古移設の強行」を通じて本来別の国であった琉球をあらためて侵略しようとしている、というストーリーである。
 村本から「沖縄はもともと中国」という発言が出てきたのは、けっして偶然ではない。自分たちの政治的主張を優位に置くために歴史を歪め、「沖縄の異国性」を声高に叫ぶ連中が、学者や識者だけでなくメディアにもごまんと存在する。そうした連中が捏造した歴史空間のなかに村本はどっぷり浸かっているということだ。
 村本を誤認させた歴史の捏造者たちの層は驚くほど厚い。従軍慰安婦問題もその一つである。彼らから言論空間を取り返し、正常化するのは並大抵のことではないが、この国の将来にとって最大の課題の一つだ。もはや私たちには村本なんぞにかまっている余裕などないのである。(文中敬称略)
 ところが、である。そのとき同席していたある歴史研究者が最近になって発表した論考には、「琉球処分は明治政府による強引な琉球併合のプロセスであり、許し難い植民地主義的蛮行であった」としか書いていなかった。「許し難い蛮行」とは恐れ入る。
 当時の沖縄の人口に占める士族(サムレー)の割合は、最小で2割、最大で5割であるとされている。日本全体の士族人口の割合は7%から10%だったといわれているから、沖縄がとんでもない士族優位の社会だったことは明らかである(琉球を実質支配していた薩摩の士族比率も高かった)。士族比率の高い社会のほうが、農民(ハルサー)に対する搾取や抑圧の度合いは高くなるから、琉球処分による封建制の廃止は、農民にとって歓迎すべき革命的変化だった。琉球処分の持つこのようなポジティブな側面も注目されてしかるべきだ。そのことは、伊波普猷を始め多くの研究者が指摘している。
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 そんなことは百も承知しているはずの歴史研究者が「琉球処分は許し難い」と語っている。歴史的事実に許すも許さないもない。事実は事実である。彼はなぜこんな一方的で、非科学的な物言いをして平気でいられるのだろう。
 彼の論考を読み進めていくうちに、その理由がはっきりわかった。「安倍政権による辺野古新基地建設の強行は、明治政府による琉球処分という蛮行に重なって見える」と書かれている箇所があったからだ。彼は「安倍政権は許し難い」といいたいがために、「琉球処分は許し難い」といわなければならなかったのである。彼は自らの主張を正当化するために歴史を歪曲したのである。
護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)

護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)
 実のところ沖縄近現代史分野では、こうした歴史の捏造や歪曲は珍しくない。似たようなことは吐き気がするほどの頻度で起こっている。「辺野古新基地反対」大いにけっこう。それはそれでやればいい。だが、政治的立場を強化するために、歴史を捏造したり、歪めたり、誇張したりすることはけっして認められることではない。
 ウーマンラッシュアワーの村本大輔の発言にも、歴史の捏造者たちと同じような匂いを感じてしまう。村本大輔個人を責めようというのではない。この世界には、「日本」に「琉球」を対置し、「辺野古」に「植民」を重ね合わせるために手段を選ばない連中がいるということだ。「日本にしてやられている沖縄」というイメージを強調するには、沖縄が「異国」であったほうが便利だ。植民地主義者・日本が、「辺野古移設の強行」を通じて本来別の国であった琉球をあらためて侵略しようとしている、というストーリーである。
 村本から「沖縄はもともと中国」という発言が出てきたのは、けっして偶然ではない。自分たちの政治的主張を優位に置くために歴史を歪め、「沖縄の異国性」を声高に叫ぶ連中が、学者や識者だけでなくメディアにもごまんと存在する。そうした連中が捏造した歴史空間のなかに村本はどっぷり浸かっているということだ。
 村本を誤認させた歴史の捏造者たちの層は驚くほど厚い。従軍慰安婦問題もその一つである。彼らから言論空間を取り返し、正常化するのは並大抵のことではないが、この国の将来にとって最大の課題の一つだ。もはや私たちには村本なんぞにかまっている余裕などないのである。(文中
敬称略)
 ところが、である。そのとき同席していたある歴史研究者が最近になって発表した論考には、「琉球処分は明治政府による強引な琉球併合のプロセスであり、許し難い植民地主義的蛮行であった」としか書いていなかった。「許し難い蛮行」とは恐れ入る。
 当時の沖縄の人口に占める士族(サムレー)の割合は、最小で2割、最大で5割であるとされている。日本全体の士族人口の割合は7%から10%だったといわれているから、沖縄がとんでもない士族優位の社会だったことは明らかである(琉球を実質支配していた薩摩の士族比率も高かった)。士族比率の高い社会のほうが、農民(ハルサー)に対する搾取や抑圧の度合いは高くなるから、琉球処分による封建制の廃止は、農民にとって歓迎すべき革命的変化だった。琉球処分の持つこのようなポジティブな側面も注目されてしかるべきだ。そのことは、伊波普猷を始め多くの研究者が指摘している。
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 そんなことは百も承知しているはずの歴史研究者が「琉球処分は許し難い」と語っている。歴史的事実に許すも許さないもない。事実は事実である。彼はなぜこんな一方的で、非科学的な物言いをして平気でいられるのだろう。
 彼の論考を読み進めていくうちに、その理由がはっきりわかった。「安倍政権による辺野古新基地建設の強行は、明治政府による琉球処分という蛮行に重なって見える」と書かれている箇所があったからだ。彼は「安倍政権は許し難い」といいたいがために、「琉球処分は許し難い」といわなければならなかったのである。彼は自らの主張を正当化するために歴史を歪曲したのである。
護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)

護岸工事が進む米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古沿岸部=2017年7月(小型無人機から)
 実のところ沖縄近現代史分野では、こうした歴史の捏造や歪曲は珍しくない。似たようなことは吐き気がするほどの頻度で起こっている。「辺野古新基地反対」大いにけっこう。それはそれでやればいい。だが、政治的立場を強化するために、歴史を捏造したり、歪めたり、誇張したりすることはけっして認められることではない。
 ウーマンラッシュアワーの村本大輔の発言にも、歴史の捏造者たちと同じような匂いを感じてしまう。村本大輔個人を責めようというのではない。この世界には、「日本」に「琉球」を対置し、「辺野古」に「植民」を重ね合わせるために手段を選ばない連中がいるということだ。「日本にしてやられている沖縄」というイメージを強調するには、沖縄が「異国」であったほうが便利だ。植民地主義者・日本が、「辺野古移設の強行」を通じて本来別の国であった琉球をあらためて侵略しようとしている、というストーリーである。
 村本から「沖縄はもともと中国」という発言が出てきたのは、けっして偶然ではない。自分たちの政治的主張を優位に置くために歴史を歪め、「沖縄の異国性」を声高に叫ぶ連中が、学者や識者だけでなくメディアにもごまんと存在する。そうした連中が捏造した歴史空間のなかに村本はどっぷり浸かっているということだ。
 村本を誤認させた歴史の捏造者たちの層は驚くほど厚い。従軍慰安婦問題もその一つである。彼らから言論空間を取り返し、正常化するのは並大抵のことではないが、この国の将来にとって最大の課題の一つだ。もはや私たちには村本なんぞにかまっている余裕などないのである。(文中敬
称略)