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ミアシャイマーの北朝鮮情勢インタービューその1そもそもこの人誰?

2018-04-05

ミアシャイマーの北朝鮮情勢インタビューその1 そもそもこの人誰?

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みなさまにご心配おかけしています。補助機を押し入れの奥から探し出して、ほこりを払って使っていますが、大変に不安定で、長時間の作業は無理のようです。

PC環境なんて、ブロッガーにとっての空気みたいなもんですから、失って分かる日常の愛しさよ、ウルウル。

メーン機の修理は今週いっぱいかかりそうで、しゃーない腰据えてPC非常時を乗り切ることにしました。

さて私はけっこう韓国の新聞は読むほうで(もちろん日本語の電子版ですが)、日本のメディアにはまず出てこない記事が出る場合もあります。

むしろ、なにかといえば「識者」と称する畑違いの大学教員や、外交官くずれを重用する日本より、韓国のメディアのほうが米国の国際政治学者の意見をよく取り上げているくらいで、参考になります。

今日はそのひとつのジョン・ミアシャイマー・シカゴ大学教授の朝鮮危機の現状分析をご紹介します。

「国際政治学の大家」ミアシャイマー教授に聞く韓半島の未来
朝鮮日報2018/04/01

ミアシャイマーは国際関係論をかじったことがある人で知らなければ、もぐりというようなお方です。

139621019887772547225_mearsheimerジョン・ミアシャイマー

『大国政治の悲劇』は漬け物石になるほどの大著で、手に持っただけで重い。読む前にその厚さに私はめげました(笑い)。

しかも、書かれていることが、日本人が最も苦手かもしれない大国間の政治力学で世界は動くという観点を徹底させたものです。

「憲法の理念」や「平和への希求」では、世界は動いていないぜ、というのがミアシャイマーの考え方です。

では、なんで動いているのかといえば、それは大国のエゴだというのです。

ここでミアシャイマーは、大国をプレイヤーにたとえます。世界には基本的に4人の米中露のメジャープイヤーがいます。

おいおい、日本はどうなっているんだい、と思われるでしょうが、残念ですが9条にがんじがらめにされて、軍事力という決定的な交渉力を奪われているわが国は、マイナーリーグのサブプレイヤーでしかありません。

プレイヤーは、自分の利益(国益)の最大限化が目的です。常に勢力圏を拡大することを狙っています。

そしてその目的のためにこの大国プレイヤーは、時に協調したり、同盟を組んでみたり、時には激しく敵対したりもします。

このメジャープレイヤーの性格は、常に「攻撃的」だという指摘をしたのが、このミアシャイマーです。それを彼は「攻撃的現実主義」(オフェンシブ・リアリズム)と名づけました。

歴史的に大国の台頭は必ず「攻撃的」でした。

ナポレオン時代のフランスは大陸を席巻しようとしましたし、ドイツ統一を達成したプロイセンのヴィルヘルム皇帝時代、ナチスの全欧侵略、そして帝政ロシアは常に領土拡張を目的としていました。

帝政ロシアの後継国家であるソ連もまた、中欧にまたがる巨大帝国を作りました。

ウクライナでプーチンが切れたのは、ここが旧ソ連帝国領土だったからで、ここまでEU・NATOを伸ばすなとあれほど言っていたろうというのが彼の言い分です。

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列強時代のわが国ですら、褒められたことではありませんが、大陸への拡大をした時期があります。

米国は巨大島国だったので、その膨張は北米大陸のフロンティア拡大でしたが、それが行き着くと、あとは太平洋へと勢力を拡大していきます。

このあたりは島国であった大英帝国の海外膨張とよく似ている、とミアシャイマーは指摘します。

米国は新たなフロンティアを求めて、太平洋を渡り大陸に利権を求めようとしました。

そのために中継地点として、日本列島が必要だったのです。それがペリー来航です。

そして太平洋の覇権を争って、後に日本とガチンコ勝負することになります。

一方、共産中国の膨張拡大は露骨で、「新疆ウィグル自治区」は名称からして和訳すれば「新しい領土ウィグル」です。

21世紀の今、紛争回避のための国際秩序維持システムが出来ているので、露骨な膨張・拡大は出来にくいのですが、堂々とやっている大国が二つあります。

ひとつは、さきほどもふれたウクライナ侵攻をしたロシアです。その目的は失ったソ連帝国版図の復活です。

一貫してプーチンは、この「帝国復興」の意志を持って外交を行っています。そう見ると、大変ロシアの行動がよく分かります。

そしてもうひとつが、いうまでもなく、我らが隣国の中国です。中国が平和的に台頭するでしょうか?

ミアシャイマーは、はっきりと「ノー」と言っています。

この国の国家目標が、かつての失った中華帝国の領土の奪還と海洋進出である以上、既存の国境線の書き換えをせねばなりません。

ウィグル、チベット、満州と大陸内部にむけた膨張は、少数民族弾圧でしたが、それが行き着けば、陸上では東に「帝国の復興」をすれば愛琿条約で失ったロシア沿海州となり、プーチンとことを構えねばなりません。

西に伸びようとすると、今度は強力なインドが待ち構えています。

共に核保有国なので、国境紛争は限定核戦争に発展する可能性があります。

となると膨張できるのは、必然的に中国の「攻撃的リアリズム」は、海洋に向けざるをえません。

つまり、東南アジア諸国という軍事小国しかいない南シナ海と、「平和憲法」のわが国相手の東シナ海、そしてその先には、おお、広大な太平洋がひろがっているではないか、と言うわけてす。

これを米国さんと二分しようというのが中国の言い分です。こんなスペイン・ポルトガルの世界分割なんて時代錯誤をマジに考えているのが中国なのです。

「遅れてきた帝国主義」なのですよ、この国は。習のいう「中華の夢」とは、そのようなことを意味します。

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まことにはた迷惑な「夢」で、周辺国からすればただの国際平和秩序の破壊者にすぎませんが、これが「大国の本能」みたいなものだと、ミアシャイマーはいうのです。

ここがミアシャイマーの独特な点で、彼はこの大国の膨張本能 をイデオロギーや社会規範に置いていません。

その国が共産国であるから膨張するのではなく、大国だから膨張せざるを得ないとかんがえます。

大国の膨張の理由づけから、一切の理念、文化は捨象しろと彼は言います。

これをフランス革命の「自由・平等・博愛」とか、ソ連の「プロレタリア国際主義」、「米国流民主主義」、はたまた「日本軍国主義」なんて大脳皮質の産物で考えるな、とミアシャイマーは口酸っぱく言っています。

逆に言えば、ソ連は共産主義だからケシカラン、ナチスだから悪魔、軍国主義だからナンセンスでは、大国の行動は理解できないということです。

明治期の日本人のほうがミアシャイマーの考え方を理解したでしょう。国際リアリズム感覚がなければ、即亡国の時代を生きて来ましたから、明治国家は。

戦後の「平和憲法」と日米安保によって二重に保護されることに馴れた今の日本人に、わかりにくいのはこの辺でしょう。

安全保障論議すると、必ず憲法の神学論議にいつのまにかすり替わっているという風景に、私たちはあまりにも馴れすぎました。

では、具体的にミアシャイマーは今のアジア情勢でどう対応しろと言っているのでしょうか。彼は米国による周辺国への丸投げ=バック・パッシングはしてはならないと説いています。

これは利害を共有する周辺国、アジアの場合は日本、韓国、東南アジア諸国ですかが、それらの国々に安全保障を投げてしまい、米国はセットバック(後退)しろという発想です。

近年は米国でもクリストファー・レインなどが唱える極端な米国撤退論に現れています。

当初、トランプはこの路線に乗るのかと心配されましたが、違ってきたようでほっとしています。

たとえば台湾について、「丸投げ主義者」は、さっさと手放せと言いますが、ミアシャイマーは台湾を中国に統合されてしまうことによる地政学的リスクだけに止まらず、米国の信頼の低下が、米国にとって死活的にパワーの欠損になると述べています。

韓国についても、同様の考え方があると思われます。

またその一方、米中両国が核武装しているので、両国は戦争に至らないというシナリオについては疑問を呈しています。

ミアシャイマーは、冷戦期の欧州よりはるかに核戦争の蓋然性は低いとみています。

ただしそれがゆえに、通常兵器を使っての限定戦争はありえるというのが、彼の見方です。

この超リアリストの国際政治学者ミアシャイマー御大に、朝鮮日報がインタビューをしていますが、長いインタビューなので、次回からにします。

余計なお世話ですが、ファンタジーに生きる韓国民は、彼のようなウルトラ・リアリストの意見など聞かないほうがいいと思いますが、ま、いいか。

2018年4月 4日 (水) | 固定リンク | コメント (6)